ブログ記事 令和5年4月施行 民法改正等のポイント5点
新年度が始まりました。今回は、令和5年4月から施行される民法改正等のポイント5点をまとめてみました。
1.相隣関係の見直し
①隣地使用権…所定の目的のために必要な範囲で、隣地を使用する権利が明文化されました。(新民法209Ⅰ)
②ライフライン設置権…ライフライン(電気・ガス・水道等)設備の設置・使用のために、隣地を使用する権利が明文化されました。(新民法213の2)
③越境竹木の切除権…隣地から越境した竹木の切除を、一定の条件のもと、自ら切除することが許されるようになりました。(新民法233Ⅲ)
2. 共有不動産のルールの見直し
①軽微変更の容易化・・・不動産が複数人で共有されている場合、「軽微な変更」であれば、「持分の過半数の同意」があれば変更可能となりました。(新民法251、252)
いままでは、変更行為は、軽微か否かに関係なく、「全員の同意」が必要でした。
②所在等不明共有者の持分処分が可能・・・共有者の中に行方不明者がいる場合、裁判所の決定を得て、他の共有者が、所在等不明共有者の持分を取得することができるようになりました。(新民法262の2)持分時価相当金額の供託が必要です。
3.「特定」の不動産に特化した「財産管理人」制度の創設(新民法264)
「特定」の土地や建物に特化した財産管理人を裁判所に選定してもらうことができるようになりました。
いままでは、「人」単位の財産管理人制度しかありませんでしたが、「不動産」を単位とする「所有者不明土地管理制度」「管理不全土地管理制度」が創設されました。
4. 遺産分割制度の見直し(新民法904の3)
遺産分割は、相続開始から10年経つと、具体的相続分(特別受益や寄与分の考慮)ではなく、原則として一律に法定相続分で算定することとなりました。
ただし、相続人全員が合意した場合は、具体的相続分による相続が可能です。
5.「相続土地国庫帰属制度」の開始(R5.4.27施行)
相続・遺産などで取得した土地を、相続人が手放して国に引き渡すことができる制度が始まります。
ただし、土地に各種制限があり、また負担金を納付すことが必要です。
最後に施行日ですが、1~4の改正民法は令和5年4月1日施行、5の相続土地国庫帰属法は令和5年4月27日施行となります。
2023年04月07日 09:00