ブログ記事 買戻特約の単独抹消が可能となります
令和5年4月1日より、『買戻特約』が登記権利者の単独申請により抹消登記可能となります。
買戻特約は、特にバブル期に、公団や公社などが売主となる不動産売買契約において、転売防止の目的で非常に多く利用されました。
買戻特約は最長10年で権利消滅するにも関わらず、抹消登記がなされないまま放置され、昨今になり、相続登記の際に、その存在が発覚することがよくあります。
今までは、買戻特約を抹消するには、登記権利者(不動産所有者)と登記義務者(買戻権者=公団など)の共同申請が必要でした。
そのため、当時の売主である公団などに連絡し、手続きを申し出て、書類を発行してもらい、抹消登記を申請するという手順が必要でした。
これが法改正により、登記権利者(不動産所有者)の単独申請により、抹消登記が可能となります。また登記義務者の所在不明の要件もありません。
1.買戻特約について
【買戻特約とは】
売買契約の際につける特約。
売主が代金額および契約の費用を買主に返還することによって、
売買契約を解除し、目的物を取り戻すことができるとする特約。
【買戻特約の特色】
①買戻期間は最長10年
売主が買戻権を行使できる期間は最長10年。10年経過すると権利が消滅する。
延長は不可。
②所有権移転と同時に登記
売買による所有権移転登記と同時に登記される。
抵当権が乙区に登記されるのと異なり、登記簿の甲区に付記登記される。
2.今回の法改正について
【改正の施行日】
令和5年4月1日
【改正内容】
買戻しの特約がされた売買契約の日から10年経過したときは、
登記権利者(不動産所有者)単独で当該登記の抹消を可能とする。
(新不動産登記法第69条の2)※
買戻特約の単独抹消については、「登記義務者の所在が知れない」という要件はありません。
その代わり単独申請により登記が抹消された場合は、登記官により、登記義務者へ通知されます。
3.まとめ
共同申請が基本の登記申請において、所在不明要件もなく、抹消登記が可能というのは、画期的な改正です。
単独申請が可能となれば、相続登記と同時に連件で申請することもできます。
政府が目指している「形骸化した権利の抹消登記簡略化による不動産取引の円滑化」を具現化するひとつだと思います。
※新不動産登記法第69条の2(買戻特約に関する登記の抹消)
買戻しの特約に関する登記がされている場合において、契約の日から十年を経過したときは、第六十条の規定にかかわらず、登記権利者は、単独で当該登記の抹消を申請することができる。
2022年11月27日 09:00