ブログ記事 成年年齢引き下げと遺産分割協議
令和4年4月1日より、成年年齢を18歳に引き下げる民法改正が施行されます。
(改正前)民法4条
年齢20歳をもって,成年とする。
↓
(改正後)民法4条
年齢18歳をもって,成年とする。
今回は、司法書士と関わりの深い相続時の遺産分割協議の場面で、
どのような影響が出るのか見てみたいと思います。
■遺産分割協議と未成年
相続が発生して、遺産分割協議が必要となる場合、
遺産分割協議には、すべての相続人が参加しなければなりません。
ただし、相続人の中に未成年者がいる場合は、
未成年者は遺産分割協議に参加することはできません。
そのため、家庭裁判所に「特別代理人」の選任申立てをし、
選任された特別代理人が、未成年者に代わって遺産分割協議に参加します。
■特別代理人選任による遺産分割協議
「特別代理人」が遺産分割協議を行う場合、
遺産分割協議書「案」を家庭裁判所に提出し、認めてもらう必要があります。
そして、この遺産分割協議書「案」は、特別な事情が認められない限り、
未成年者が、法定相続分以上の遺産取得する必要があります。
たとえば以下のケースの場合・・・
父親 →死亡により相続発生
法定相続人→母親と未成年の子供1人(それぞれ法定相続分は2分の1)、
遺産 →主なものは、自宅不動産のみ
このケースにおいて、母親が単独名義で自宅不動産を相続することは、
未成年者の法定相続分を確保できないことから、難しくなります。
■民法改正後の遺産分割協議
特別代理人の選任が必要な相続人の年齢が、20歳から18歳と引き下げられます。
18歳・19歳の相続人は、
自ら単独で遺産分割協議に参加することが可能となります。
今までより、
柔軟に遺産分割協議を進めることができるケースも出てくると思います。
■最後に、過渡期にあたる成人年齢は以下の通りです。
生年月日 成人となる日 成人年齢
2002年4月1日以前生まれ 20歳の誕生日 20歳
2002年4月2日~2003年4月1日生まれ 2022年4月1日 19歳
2003年4月2日~2004年4月1日生まれ 2022年4月1日 18歳
2004年4月2日以降生まれ 18歳の誕生日 18歳
※法務省HPより引用