ブログ記事 不動産の権利証が見つからない場合
不動産を売却したり、抵当権の設定を行ったりする際に、所有者のいわゆる「不動産の権利証」が必要となります。
不動産業者や銀行から「不動産の権利証」を用意してくださいと言われ、
慌てて自宅を探した経験があるかもしれません。
「権利証が見つからない!」
そんな時に、解決のヒントにるかもしれないひとつのポイントを説明したいと思います。
それは、不動産を共有取得している場合です。
例えば、相続手続きで、父親名義の不動産を、息子2人で2分の1ずつ共有取得した等。
相続手続きを行ったのが、「昭和」や「平成の初め頃」だった場合、
「不動産の権利証」は、「共有名義でも合わせて1通」しか発行されませんでした。
上記のケースで、例えば長男が権利証を保管していた場合、次男がどんなに自宅を探しても権利証は見つかりません。
不動産を共有取得している場合、
共有者に連絡を入れてみると、「不動産の権利証」が見つかるかもしれません。
もう少し詳しく解説します。
不動産の権利を取得した場合の「権利を証する書面」は2種類あります。
①「登記済権利証」と
②「登記識別情報」です。
①「登記済権利証」
平成中旬まで発行されていたもの。登記簿がコンピュータ化※される前のもの。
縦書きが多く、法務局の朱印が押印されている。
書面そのもに価値がある。
②「登記識別情報」
現在、法務局より発行されているもの。登記簿がコンピュータ化※された後のもの。
薄緑色のA4サイズ書面で、12桁の番号が目隠し記載されている。
たいていは司法書士等により厚紙冊子に綴じられている。
書面そのものではなく、12桁の情報に価値がある。
この2つは、発行される仕組みも異なります。
不動産を共有で取得した場合、
①「登記済権利証」は、併せて1通発行される。
②「登記識別情報」は、共有者それぞれに発行される。(2名なら2通、3名なら3通)
というわけで、今回のトピックに戻り、
不動産の権利を取得したのが、「平成中旬頃まで」かつ「共有」だった場合は、
共有代表者1人が「不動産の権利証」を保管しているということになります。
※「登記簿のコンピュータ化」
昭和63年に法務省令が発出され、法務局毎に、書面の登記簿からコンピュータ化する手続きが進められた。
平成20年頃には概ねコンピュータ化が完了した。
2021年05月28日 13:00