ブログ記事を更新しました。
「所有者不明土地」に関する最近の注目すべき動き(2019年12月16日・No.6)
こんにちは。司法書士の黒川亜実です。
「所有者不明土地」という言葉を、最近ニュースなどでよく耳にするようになりました。
~①所有者不明土地とは~
簡単に言うと、登記簿上の所有者が古いままで名義書換えが行われず、
戸籍等を調べても、現在の所有者(相続人)やその連絡先を完全に把握できない土地のことです。
平成28年の調査では、所有者不明土地の面積は、
国土の20%に相当し、九州本島を上回る約410万haに上るとみられています。
~②所有者不明土地の問題点~
「所有者不明土地」には、以下のような、様々な問題点が発生しています。
災害復興事業や公共事業が、用地取得が進まず難航する…
所有者不明の空き地が、不法投棄の温床となる…
固定資産税の未徴収が発生する・・・
~③所有者不明土地の生まれる原因~
「所有者不明土地」が生まれる最大の原因は、
「相続登記が行われいていない」ことにあります。
所有者が死亡しても、
不動産登記簿上の名義変更である「相続登記」は義務ではないため、
様々な事情により、相続登記が行われていないケースが数多くあります。
相続登記未了でいると、「さらに次の相続が発生し…」を繰り返し、
相続人が数十人から100名を超す場合もあります。
~④所有者不明土地に関する最近の大きな動き~
政府も、「所有者不明土地」に関しては、大きな問題としています。
12月12日には、
「令和2年度税制改正大綱(与党大綱)」が公表されました。
その中で、所有者不明土地について
「使用者」に固定資産税を課すことが可能となる制度が盛り込まれました。
また、12月3日には、
「法制審議会の所有者不明土地問題解消に向けた制度改正中間試案」が発表されました。
この中間試案では、
相続登記を義務付けて怠った場合の罰則を課す制度、
所有権放棄を認める制度の創設、
相続人が遺産分割の協議を行う期間に制限を設ける新制度、
などが盛り込まれています。
年明けに意見公募を実施し、来夏にも要綱案がまとめられる予定です。
これらの最近の動きについては、あらためてこのブログでも取り上げたいと思います。
「アメブロ記事はこちら」(クリックすると過去分を含むアメブロ記事がお読みいただけます)
2019年12月16日 15:00